女性の搾取について

私は身体の造りは女として生まれたが、ストリップ劇場にいくのが趣味である。

あらかじめ言っておくが、大島薫さん主催の男性が脱ぐ方は行ったことがない。
バーレスクには行ったことがある。

この場合必要ないとは思うが、性自認は中性(男とか女とかで枠組みできない)性対象としてはバイセクである。

なぜ必要ないかと思うのかは、一般的にどこかに出入りする場合、客の性対象や性自認は関係ない筈だからだ。
(あくまで一般的にと書いたのはゲイバー等例外があるので)



前置きはさておき、今回私が疑問に思ったことは『ストリップ劇場=女性搾取の場』なのか、ということである。

現在のショーの内容を知らず、誤解した認識の人が『搾取だ』『それを見る女も女を搾取している』と言うのである。
(前置きしたとおり私の性自認は女ではないが、肉体は女なのでここでは女として表記させて貰う)

ラディカルフェミニズムの人たちは『性産業が存在し、それを認める女がいることで搾取に取り込まれる、加担するな』と仰いますが…

果たして『現代の日本のストリップ劇場』において搾取される構図が成り立っているのでしょうか。

自らの意思で脱ぐことを表現の技法とし、それを元に作り上げた演目を金を払って観劇する。

この流れを一度も目にしないまま搾取だと言うのは、踊り子という職業や存在を侮辱していることにも繋がります。
自分の知らない世界を誤解するのは仕方ないし、理解をしようとするのも難しい。けれど誤った知識を改善しようとする意思がないまま、そして現状をしらないまま侮蔑する恥を知りなさい。


脱ぐだけでちやほやされるだけの世界ではありません。
どんなに踊りたくても、コースの都合上踊れない子もいます。
基本的にセルフプロデュースの世界。描きたいテーマを元に選曲し衣装を選び踊りの練習をする。
(これは人によって順番が異なるかもです)

スタジオは深夜の方が安いから公演後に行く、なんてザラです。そして地方を飛び回りつつ、心身の健康を維持する。好きだから、なんて一言では語り尽くせないほどの労力があります。

そしてその労力を知っているからこそ、ファンが存在するのです。
それは嫌々やらされてたら成り立ちません。
果たして本当に搾取と言えるのでしょうか。

またWikipediaの一部の記載だけでまるで現在もそのようなことをしていると思われている方も居ますが、そんなことはありません。



100歩譲って、『いかなる理由でも性産業に従事=女性の搾取』『それに加担する女も罪』と仰りたいのなら、渦中の踊り子は搾取される可哀想な存在なのでしょうか。

当事者の意思を無視して勝手にそのようなことを仰る方が、女性差別であり職業の差別をしていると思います。
既に何人かの踊り子から、否定の声が出ています。

そこまでしても搾取の構図だと思うのでしたら、一度足を運んでみてください。誤解だけで批判するのは愚かです。


さて、踊り子と客の関係はただのダンサーと客の関係。それだけです。

舞台上の姿に魅了され、憧れ、ファンになる。この流れはどの芸能や舞台とさほど変わらないと思います。
別にストリッパーと客の関係だから肉体関係を持てるわけではありません。
(ここで『かつては~』と昔の話を出すのは控えます。あくまで現在進行形の話です)

例えば好きで憧れの女優を見つけ、それに近づけるよう行動を変えるのと
例えばセクシーなアイドルの衣装やダンスを見て、『かっこいい!』と感じるのと

例えばサーカスのアクロバティックな技術に圧倒するのと

そして脱ぐという表現技法のストリッパーを見て、体型や年齢を問わない美しさと気高さに感動するのは

根本的な思考回路としては一緒ではないでしょうか。

そもそも論として特定の人物を『鑑賞』するのが搾取になるのなら、その他舞台観劇も搾取に当たると思います。



ストリップは肌を見せるので性風俗のくくりに入りますが、このように少々特異性がある芸能のジャンルです。

バレエや日舞、そして最近ではエアリアルシルクやポールダンスを得意とした子も数々います。そしてその得意なことと脱ぐことを掛け合わせて、自ら描きたい物語を作ってる世界です。

『そのような技術をしょせんストリップで生かさなくてもいい社会にしたい。』そう仰る方も居るかもしれません。けれどもそれは現在それを生業にしている人たちの存在は認められないのでしょうか。



劇場では公演が始まる前向に
『踊り子さんの衣装、手や足に触れないでください』
と言ったアナウンスがあります。

実に当たり前です。
この当たり前のことを守れない人が多いからではなく、当たり前を常連には再認識、そして初見の人には『触ってはいけない』と教えるためです。
劇場という小さな箱の中ですら当たり前のアナウンスを徹底しています。
(だから席の近くの人が翻った衣装に触れそうになったら避けてます)



が、日本って国そのものにこのアナウンスが必要でしょう?
痴漢はいつでも湧いてるし、そんな当たり前のことすら守れてない。
人の身体を勝手に触ったりしてはいけないのは、別に女が相手であること、また布で隠れているかの有無に関係ない。

『わぁ!筋肉すごぉい!触っていいですかぁ?』(返事待たずに手を伸ばす)

これだって日常に潜みがちだけどいけないことですよね?


また過激な(痛め付けたりする系。それがやらせか本人の意思かも含め)AV批判もあるけど、バラエティーで芸能人が身体張ってたロケをしているのが手軽に流れてくる環境の方が恐ろしいです。

お笑いでは誰かを貶すことを笑いとし、時には相方をツッコミで叩き、『でもそれは演出だから!』と笑い楽しめる環境がに居る中で『自分は搾取なんてしていない!』と言いきれますか?

私は昨今のメディア、バラエティーに耐えられないので見ていません。






さて、けれどもそこまで書いても『女性搾取のエンターテイメントなんて可哀想で不謹慎だ』と思う方へ。

ファンとしては認めたくないけど、所詮斜陽産業です。一年に一館のペースで実にさまざまな理由で劇場は閉館してます。
一度閉館したら開館は難しいし、新規の開館は無理です。
歴の長い中堅、ベテランさんも急に引退します。
(勿論告知して引退興行する場合もありますが、それは非常にラッキーな場合です)
デビューしてもまず一年続くかどうか。雨後の筍のように新人が現れては消えていきます。

そしてそれは戦後からの社会の情勢に敏感に影響された結果でもあります。多いときと比べ、劇場の数の桁数は0一つ分減りました。
その中でショーも変化し、それにより新たな層にも道は開けてます。
(ちょっと余談ですが作家の永井荷風はロック座に通ってましたし、そして当時の女性客の存在について踊り子と対談もしています。坂口安吾はストリップを罵倒すらしていたもののきちんと足を運んだ上で罵倒し『もっと女性客がいると思った』とすら言ってます。ですから昨今のサブカル文化に乗じてストリップに行く女性が増えたとは考えられません。)



つまりあなたがたが突っかかろうが、相応しくないなら消えていきますよ。喜ばしいてますね。正義の名の元、職場や仕事を消せる手助けができて。



その目でしかと確かめてから批判なさいな。足を運びたくないなら、せめて正しい史実を漁れ。書籍はあります。もちろん、面白可笑しく仕立て上げたものではない。どのような変遷で、今に至ったか。過去ときちんと向き合って記載されてます。

あ?どれ読めばいいか分からない?
ならば一冊、『万博とストリップ』をオススメします。





それでもなお、女性の地位は向上しないのに性産業は肯定する。と言うのなら、一言。


女性の地位向上と性産業の肯定は論点が違うだろが!
性産業に従事してる女性だけが、地位向上してるわけないだろ!




【補足】
・性産業だけじゃなく一般職においても『やりがい搾取』があるように、搾取構造そのものは変えていく必要がある。
・勿論性産業そのものに蔓延る搾取構造も無くしていく必要はある。
・が、今回は『ストリップ劇場における女体搾取の違和感』について記載した。ストリップが芸術か風俗か、また、他の性産業での搾取は割愛させてもらう。
・↑と、言うのも私はストリップ以外の性風俗についてあまり知識がないので(過去における風俗史はさておき、現在進行形で)風呂敷を広げず、絞って思いを書いた。


【補足の補足】
・そんな気持ち悪いものの為に金と時間と労力を使いたくない、と考えを放棄し持論で殴るなら
(せっかくこちらが分かりやすい文献を提示しても、読めだなんて傲慢だ、等)、あなたは本当の意味で弱者を救うことはできないでしょうね

・『知らないくせに批判するな』『見れば分かる』と言った言葉は意見交換の場に相応しくないので使用していませんでしたが、言いたくなりますね 笑


・その子の知り合いでも家族でもましてやファンですらない人が『オスを気持ちよくさせるため』『自傷行為に当たる』と指摘するのは、いったいその子の何を知った上でなのでしょうか。
『可哀想な子に指摘したワタシ♥️』って考えですか?

・女性搾取を辞めろと仰るなら、性産業の従事者を誤った認識で『酷いことされてる』『可哀想』と言い
そしてそれにいく女を『女が女を買うから男優位の社会だ。性産業の肯定は加担になる』と言うのなら

勝手に搾取されてるから辞めさせなきゃ!と走り持論で殴りかかるその根底に、彼女らを利用してやるって搾取が見えるわ。



【補足の補足の補足】

過去のことをなかったことにしたいのか!

そうではなく、今話してるのは現代の話。

過去の搾取を現代に重ねて話すのは論点がズレるので、引き合いに出すのは今は違うよねって話。



以上。